研究というのは、こういう形で報告した方がいいという雛形があります その雛形には、必要な項目、例えば事前に規定した分析方法について記述せよといったことが箇条書きやチェックリスト形式で書かれています
最近、医療の質(Quality Improvement)に関する結果も、研究として投稿することが多くなってきました。この報告に関してもこのように報告するといいよというガイドラインがあります。SQUIREガイドラインといいます。このガイドラインについて今回紹介したいと思います。
*すべての SQUIRE 項目を検討すべきであるが、特定の原稿にすべての SQUIRE 要素を含めることは不適切または不必要である。
1:タイトル・要旨
1)タイトル
・ヘルスケア(広義には医療の質、安全性、有効性、患者中心性、適時性、コスト、効率、公平性を含む)向上のための取り組みに関する原稿であることを明示すること。
2) 要旨
・検索や索引付けに役立つ十分な情報を提供する。本文中の様々なセクションから重要な情報を要約し、出版物の抄録形式か、背景、地域の問題、方法、介入、結果、結論のような構造化された要約を用いる。
2:はじめに・背景
1) 問題の記述
・地域の問題の性質と重要性。
2)利用可能な知識
・関連する先行研究を含め、その問題について現在わかっていることのまとめ。
3)根拠
・問題の説明に用いられた非公式または公式の枠組み、モデル、概念、理論、介入を行う際に用いられた理由や仮定、介入の効果が期待される理由。
4)具体的な目的
・プロジェクトの目的および本報告書の目的。
・方法 何をしたのか?
3:方法
5)文脈(この介入を行う理由)
・介入(複数可)を導入する際に当初重要視した文脈的要素。
6)介入:
・他の人が再現できるような十分詳細な介入(複数可)の記述。 ・その作業に関与したチームの具体的な内容。
7)介入のための研究
・介入の影響を評価するために選択した方法。
・観察された結果が介入によるものかどうかを確認するために用いた方法。
8)測定法 ・介入のプロセスおよび結果を研究するために選択した尺度(尺度選択の根拠、運用上の定義、妥当性および信頼性を含む)。
・成功、失敗、効率、コストに寄与した文脈的要素を継続的に評価する手法の記述。
・データの完全性・正確性を評価するために採用した方法。
9)分析
・データから推論するために使用した定性的・定量的方法。
・変数としての時間の影響を含む、データ内のばらつきを理解するための方法。
10) 倫理的配慮 ・介入の実施と研究の倫理的側面、およびそれらにどのように対処したか(正式な倫理審査および潜在的な利益相反を含むが、これらに限定されない)。
4:結果
11)結果
・結果 介入の初期段階とその経時的変化(例:時間軸図、フローチャート、表)(プロジェクト期間中に介入に加えられた修正を含む)。
・プロセス指標と結果の詳細。
・介入と相互作用した文脈的要素。
・アウトカム、介入、関連する文脈的要素との間に観察された関連性。
・介入に伴う予期せぬ利益、問題、失敗、コストなど、意図せざる結果。
・欠損データに関する詳細
5:考察
12)要約
・論理的根拠や具体的な目的との関連性など、主な発見。
・プロジェクトの特に優れた点
13) 解釈
・介入とアウトカムとの関連の性質。
・他の出版物から得られた結果との比較
・プロジェクトが人々やシステムに与えた影響。
・文脈の影響など、観察された結果と予想された結果の違いの理由。
・機会費用を含む、費用と戦略的トレードオフ。
14)研究の限界
・研究の一般化可能性の限界。
・デザイン、方法、測定、分析における交絡、偏り、不正確性など、内部妥当性を制限する可能性のある要因。
・限界を最小化し、調整するために行った努力。
15)結論
・研究の有用性。
・持続可能性。
・他の文脈への普及の可能性。
・この分野での実践とさらなる研究のための含意。
・次のステップの提案
6:その他の情報
16)資金源
・この研究を支援した資金源。研究計画、実施、解釈、報告において研究助成機関が果たした役割(ある場合)。
Ogrinc G, Davies L, Goodman D, Batalden P, Davidoff F, Stevens D. SQUIRE 2.0 (Standards for QUality Improvement Reporting Excellence): revised publication guidelines from a detailed consensus process. BMJ Qual Saf. 2016 Dec;25(12):986-992. doi: 10.1136/bmjqs-2015-004411. Epub 2015 Sep 14. PMID: 26369893; PMCID: PMC5256233.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26369893/
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