重症患者はよく吐く
吐かないまでも、胃から口腔内へ逆流する患者も多い
明確な嘔吐だけであっても20%程度患者に見られれる1)
そのため嘔吐しそうな患者を見つけるために、残留量(Gastric Residual Volume:GRV)を測定する。GRVは経鼻胃管時からシリンジを使用して胃内容物を吸引し量を測定することで、胃の動きを予測できる。
また、胃の動きが悪く、小腸へ栄養剤が流れていかないことをgastrointestinal intoleranceという。
GRVを測定には賛否両論ある。
なぜなら、GRVをモニタリングしなくとも肺炎の発生率は増加しない(RR=1.03, 95%CI:0.74-1.44, P=0.85)からである 2)。
とは言え、GRVをモニタリングしない場合は
①嘔吐患者が増える(RR=1.43, 95%CI:1.15-1.77, P=0.001) 2)
②胃出血などのモニタリングには、胃の内容物を直接観察する以外の方法がない
しかし、経鼻胃管から胃内容物をシリンジなどで吸引するという方法のため、精確性に難があることが指摘されている4)。加えて、GRVを測定することで、チューブが詰まりやすくなるという問題もある3)。タンパク質はpHが5.0より酸性に傾くと固形化しやすくなる。そのためGRVを確認する際に胃液によりチューブ内が酸性に傾くことで、チューブ内の栄養剤が固形化し閉塞しやすくなると考えられている。
*8Frのチューブで4時間毎にGRVを確認した群とGRVを確認しなかった群でその影響を比較している。この研究の結果は、4時間毎にGRVを確認した群で66.7%の確率でチューブ閉塞が生じ、GRVを確認しなかった群で7.7%の確率でしかチューブ閉塞が起きなかった(P=0.017)3)。
こうした問題もあり、胃内容量の測定方法は、いまだに検討が続いている。その一つの方法がエコーで評価する方法である。
ある研究をご紹介する4)。まず、エコーで胃残量を測定しその後GRVをシリンジで吸引し評価する。シリンジで吸引された後の胃内容量を再度エコーで評価し、250ml以上GRVがあった場合、胃内へ栄養剤を戻し再度エコーで胃内容量を評価すると言ったことをおこなっている。61人の患者に調査され、うち60名(98%)の患者が最初のエコーで胃内がfull stomachであった。その後GRVで吸引後 52名 (85%)に低下した(p = 0.016)が、GRVで吸引後も胃内に液体が多量に残っている患者も多く見られた(a mean bias of 66.6 ml and a 95% agreement band ranging from 218 ml to 351 ml)。そのためGRVよりエコーの方が正確に胃内容量を推定できるのではないかと結論づけられている。
従って、今後もしかしたらエコーで簡便にGRVを推定し、かつ実際に出血がないかなど吸引で確認するなどの手技が取られるようになっていくのかもしれない。。。。(あくまでも個人的な見解です。。。)
1)Kadamani, I., Itani, M., Zahran, E., & Taha, N. (2014). Incidence of aspiration and gastrointestinal complications in critically ill patients using continuous versus bolus infusion of enteral nutrition: a pseudo-randomised controlled trial. Australian Critical Care, 27(4), 188-193.
2)Wang Z, Ding W, Fang Q, Zhang L, Liu X, Tang Z. Effects of not monitoring gastric residual volume in intensive care patients: A meta-analysis. Int J Nurs Stud. 2019;91:86-93.
3)Powell KS, Marcuard SP, Farrior ES, Gallagher ML. Aspirating gastric residuals causes occlusion of small-bore feeding tubes. JPEN J Parenter Enteral Nutr. 1993;17(3):243-246.
4)Bouvet L, Zieleskiewicz L, Loubradou E, Alain A, Morel J, Argaud L, Chassard D, Leone M, Allaouchiche B; AzuRea CAR'Echo collaborative networks. Reliability of gastric suctioning compared with ultrasound assessment of residual gastric volume: a prospective multicentre cohort study. Anaesthesia. 2020 Mar;75(3):323-330. doi: 10.1111/anae.14915. Epub 2019 Dec 4. PMID: 31802485.
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日本赤十字九州国際看護大学
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